- 「ベッドに入ってもなかなか寝付けない」
- 「夜中に目が覚めてしまう」
- 「寝ても疲れがとれない…」
50代を過ぎると、多くの人が睡眠の悩みに直面します。でも、これはあなたのせいではありません。加齢に伴う自然な体の変化だからです。
私も50代に入り、睡眠の変化を感じはじめています。看護師としても多くの人の睡眠の悩みに寄り添い、アドバイスをしてきました。
この記事を読むと、睡眠のメカニズムと不眠を解消する実践方法がわかり、人生の質(QOL)を劇的に向上させることができます。
「睡眠力」を育て、より質の高い人生を謳歌したい人は最後まで読んでください。
Ns.きらりん睡眠が改善されると、生活の質(QOL)がグッと上がります!
ただの休息じゃない、睡眠の本当の役割


睡眠は生きるために欠かせないものです。ここでは、あまり知られていない睡眠の役割と睡眠不足が心身に与える影響について解説します。
睡眠の目的は「脳と体のメンテナンス」
睡眠は、健康維持のために必要な「メンテナンス時間」です。睡眠には単なる休息だけでなく、主に以下のような目的があります。
- 情報の整理と記憶の定着
- 認知症の予防
- 疲労回復
- 免疫機能の向上


脳は睡眠中に、日中に活動して得た情報を整理し、必要なものを記憶として定着させます。さらに、眠っている間に脳内に溜まった老廃物(アミロイドβ)が排出され、認知機能が正常に保たれます(認知症の予防)。
一方、深い眠り(ノンレム睡眠)の間に脳の下垂体から成長ホルモンが大量に分泌され、細胞の修復や疲労の回復を促します。免疫機能を高める物質も分泌され、感染症などの病気から体を守っています。
睡眠不足が続くと心と体のバランスが崩れる
睡眠不足が続くと、自律神経やホルモンバランスが乱れ、以下のリスクが高まります。
- 生活習慣病(高血圧、糖尿病など)
- 免疫力の低下(感染症など)
- 精神的な不調(イライラ、意欲の低下、抑うつなど)
- 認知症


慢性的な睡眠不足は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。免疫力も低下し、感染症にかかりやすくなります。
精神面でも、イライラしやすくなったり、意欲が低下したり、不安感が増したりといった精神的な不調の原因となります。最新の研究では、睡眠時間が短すぎても、長すぎても認知症のリスクが高まることが示されています。
睡眠不足は、単なる眠気の問題ではなく、将来の健康に深刻な影響を与えかねません。質の良い睡眠を確保することがとても大切です。
ステップ1▶︎50代以降で不眠が増えるワケを知る


50代以上になると、不眠が急増します。不眠を解消するには、まず原因を知らなくてはいけません。ステップ1では、50代以上の人がなぜ「眠れなくなる」のか科学的に解説します。
50代以上では、次のような原因で不眠になりやすいです。
- メラトニンの分泌量の減少
- 体内時計のリズムの変化
- 深い睡眠(ノンレム睡眠)の減少
- ホルモンバランスの乱れ
- 環境の変化によるストレス
- 日中の活動量の減少
メラトニンの分泌の減少
メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンで、睡眠や覚醒のサイクルを調整します。しかし、加齢とともにメラトニンの分泌量は低下するため、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。


体内時計のリズムの変化
体内時計とは、約24時間周期で体のさまざまな働きをコントロールするシステムのことです。体内時計のリズムは、加齢とともに前倒しになる傾向があります。高齢者が不眠になりやすいのは、「体内時計のリズム」と「実際の生活リズム」との間にズレが生じるからです。
ノンレム睡眠の減少
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。特にノンレム睡眠では、脳が休止状態になり、最も深い眠り(徐波睡眠)が現れます。しかし、50代を過ぎるとノンレム睡眠が短くなるため、ちょっとした物音や尿意などでも目が覚めやすくなるのです(中途覚醒)。


自律神経の乱れ
女性の場合、更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌の急激な減少により、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経が乱れると、体をリラックスさせる副交感神経が働かなくなり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。
環境の変化によるストレス
50歳前後は、子どもの自立や親の介護、社会的な責任が増えるなど、取り巻く環境が大きく変化しやすい時期です。環境の変化によってストレスを感じやすく、不眠につながるケースも多くなります。


日中の活動量の減少
加齢によって日中の活動量が少なくなることも、不眠の原因となります。睡眠は、脳や体を休ませ、疲労回復させるために必要です。しかし、日中の活動量が少なくなると、あまり疲れがたまらないので、睡眠時間が少なくなってしまうのです。
ステップ2▶︎今日からできる快眠習慣!人生の質を上げる4つの実践法


ステップ2は「実践編」です。睡眠を改善するために、特別なことは必要ありません。すぐに取り組めることばかりですので、人生の質をアップさせたい人は、1つでもよいので実践してみましょう。
①起きたらすぐ、太陽の光を浴びる
朝目覚めたらすぐにカーテンを開け、自然光を浴びましょう。太陽の光が網膜から目に入ると、メラトニンの分泌がストップし、体内時計がリセットされます。メラトニンはリセットから約14〜16時間後に再び分泌されはじめます。例えば、朝7時に光を浴びると夜9時〜11時ごろに自然な眠気が訪れやすくなります。


朝日を浴びると、精神の安定に関わる「セロトニン」というホルモンが分泌されます。セロトニンは、夜になると睡眠を促すホルモン「メラトニン」の材料となり、質の高い睡眠へ導きます。
起きてから1時間以内に5〜20分程度、太陽の光を浴びる
例)窓際で朝食を食べる、朝の散歩をする など
②軽い運動で「睡眠圧」を高める
深い眠り(ノンレム睡眠)に入るには、「睡眠圧」を高めることが重要です。睡眠圧は、起きている時間が長くなるほど「眠りたい」という圧力が高まってくる仕組みのことです。50代以上では、ただ起きているだけでは睡眠圧が溜まりにくくなります。日中あまり運動をしない人は、適度な運動を取り入れましょう。
午前中に30分程度、軽い運動をする
例)ウォーキング、ゆるいストレッチやヨガなど
午前中に運動することで、体内時計のリズムや自律神経が整えられ、夜のスムーズな入眠につながります。
③体温のメカニズムを利用する
寝つきを良くするためには、深部体温(体の内部の温度)をスムーズに下げることが大切です。入浴は一時的に深部体温を上げますが、入浴後1〜2時間で下がりはじめ、眠りにつきやすくなります。寝るときは、スムーズに熱を放出できるよう、靴下を脱いで足首や足の指を解放しましょう。
- 入浴は、就寝前90分前までに
- 38〜40℃程度のぬるめのお湯に20〜30分ほど浸かる
- シャワーの場合は、首の後ろや手首、足首を温める
首や手首、足首の皮膚表面には、太い血管が通っています。シャワーで温めることで深部体温が上がり、その後の体温低下がスムーズになります。


④寝る前は「リラックスモード」に切り替える
寝る前にリラックスして過ごすと、副交感神経が優位になり、心身が「休息モード」に切り替わります。スマートフォンやパソコンなどのブルーライトは、交感神経を刺激するため、寝る前の使用は避けましょう。リラックスの方法には以下のようなものがあります。
- 腹式呼吸を行う
- 軽いストレッチを行う
- 温かい飲み物を飲む
- アロマオイルなどの香りを取り入れる
- 間接照明にする
- 静かな音楽を聴く
- 読書
- 腹式呼吸は、目を閉じて鼻からゆっくり吸い、2倍程度の時間をかけて口からフーッと長く吐き出すとよい。
- 寝る前の飲み物は、ハーブティーやホットミルクなど、ノンカフェインの飲み物にする。
- アロマオイルは、リラックス効果のある香り(ラベンダーなど)を選ぶとよい。


ステップ3▶︎快眠の恩恵を最大化!人生の質(QOL)向上アクション


ステップ1と2で、睡眠の土台を整えたら、次は快眠によって得られた「活動力」を最大限に活かして生活の質(QOL)を高め、また質のよい睡眠につなげる、といった効率の良い循環を育てます。ステップ3では、QOLを高めるアクションについて解説します。
不眠を解消して、人生の質をアップさせたい人は読んでください。
行動①朝の「ご褒美」習慣で生活リズムを整える
深い眠りから目覚めた朝は、脳がクリアで最もポジティブな状態です。朝のルーティンを「義務」ではなく「楽しみ」に変えることで、早起きや規則正しい生活を継続するモチベーションになります。楽しみになる朝のルーティンの例を次にいくつか紹介します。
- 庭やベランダで、朝日を浴びながら深呼吸をする。
- とっておきの朝食メニューをゆっくり味わう。
- お気に入りの音楽をかけながら身支度をする。
- 朝の散歩や軽いストレッチを行う。
- 読書を30分行う。


質のよい睡眠で得られた活力を「自分へのご褒美」に使うことで、快眠の価値を脳がより強く認識し、習慣化しやすくなります。 QOL向上アクションで生活リズムが整うと、体内時計も整い、夜も眠れるようになるのです。



朝のルーティンを楽しみに変えることで、1日の充実感もアップします!
行動②「新しい挑戦」で脳に活力をあたえる
快眠によって得られた記憶力や集中力を活用し、日常に「新しい刺激」を取り入れましょう。日中に脳が活性化されると、夜の睡眠の質が高まります。
- いつもと通勤ルートを変える
- 新しい趣味や学習をはじめる
- 興味のあるオンラインサロンに参加する
など、新しい体験を意識して取り入れてみましょう。
知的な活動による脳への適度な負荷は、夜の脳の休息(ノンレム睡眠)の質を高め、日中の意欲や活動量を向上させます。


行動③マインドフルネスで「眠れない」不安を解消する
「眠れないかもしれない」という不安や焦りが、不眠を悪化させることがよくあります。感情を安定させる心のケアをプラスして、ストレスや不安を解消しましょう。
心を安定させるためのアクションとして、マインドフルネス1が効果的です。マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中し、ありのままの現実を体験すること。隙間時間にかんたんにできるので、トライしてみてください。
方法:目を閉じて自分の呼吸に意識を集中する(1分〜5分)
行うタイミング:昼食後や仕事の合間などの隙間時間
マインドフルネスは、眠れない時に行うものオススメです。行っているときに不安が湧いてきても大丈夫です。不安な気持ちを無理に振り払おうとせず、呼吸に意識を戻すことで、心が落ち着き、自然な眠りにつながりやすくなります。
まとめ


この記事では、50代を過ぎて不眠で悩みはじめた人が、不眠を解消して人生の質を上げるための情報を以下の3ステップで紹介しました。
睡眠のメカニズムを理解し、自分の体の変化を受け入れる。
「朝の光」「日中の運動」「体温調節」「寝る前のリラックス」で眠りの土台を作る。
快眠で得られた活力を「日中の新しい行動」につなげ、人生の質を向上させる。
まずは、【ステップ2】の4つの実践法の中から、1つでもよいので習慣にしてみてください。ここで紹介した実践法は、不眠解消にも役立つのはもちろんのこと、あなたの人生をより健康で、充実したものに変えてくれます。
もし、さまざまなセルフケアを試しても不眠が続く場合は、自己判断せず、医療機関に相談することも大切です。



専門家に相談することも大切です!
今日から「最高の目覚め」を手に入れ、充実した毎日を送りましょう!

