【心の栄養学】看護師が教える、食べて心が元気になるメンタルケア

栄養のある食材
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  • 「なんだか気分が晴れない」
  • 「なにしても楽しいと思えない」
  • 「なにもやる気がしない…」

もし、そんな心の曇りを感じているなら、それは栄養不足が原因かもしれません。私たちの心は、私たちが日々口にする食べ物によって大きく左右されています。必要な栄養素が摂取できないと、メンタルを安定させる物質が脳に届けられないからです。

この記事では、看護師である私が、科学的に裏付けされた「心の元気」に必要な栄養素と食材、取り入れやすい食べ方まで解説します。この記事を読むと、心が疲れている人が何をどのように食べれば元気を取り戻せるのかわかります。

毎日の食事で手軽に取り入れやすい食材ばかりを紹介していますので、いま心が疲れていると感じている人は最後まで読んでください。

Ns.きらりん

食事でメンタルケアができます!

目次

幸せホルモンを生み出す!心の元気の源となる5大栄養素と食材

心を元気にする栄養素

心が元気になる食事の基本は、「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質を作るための材料を補給することです。神経伝達物質には、セロトニンドーパミンノルアドレナリンなどがあります。この記事では、精神を安定させて安心感をもたらすセロトニンを中心に触れていきます。心を元気にする主な栄養素は、以下のようなものです。

  • トリプトファン(タンパク質)
  • ビタミンB群
  • マグネシウム
  • 鉄分
  • オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

セロトニンの原料「トリプトファン」

トリプトファンは、セロトニンの原料であり、たんぱく質を構成する必須アミノ酸の一種です。必須アミノ酸は、体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。セロトニンは、精神を安定させ、幸福感をもたらし、夜になると「メラトニン」というホルモンに変化して安眠へ導きます。

トリプトファンが豊富に含まれる食材

バナナ、乳製品(牛乳、チーズなど)、大豆製品(豆腐、納豆など)、ナッツ類、卵、レバー、魚類、肉類など

トリプトファンの働き

元気をつくる「ビタミンB群」

ビタミンB群は、私たちが摂った糖質やタンパク質、脂質を活動のためのエネルギーに変える栄養素です。ストレスを感じると、体はストレスに対処するためにビタミンB群を大量に消費します。心が疲れているときはビタミンB群が不足しやすく、エネルギー不足になりがちです。またビタミンB群は、トリプトファンをセロトニンへ変換するサポートの役割も担っています。

ビタミンB群が豊富に含まれている食材

豚肉、レバー、鶏むね肉・ささみ、魚介類、大豆製品(納豆、豆腐など)、緑黄色野菜、玄米など

ビタミンB群食材


鎮静ミネラル「マグネシウム」

マグネシウムは、「抗ストレスミネラル」とも呼ばれ、神経の興奮を抑えたり、筋肉の緊張を和らげたりする働きがあります。また、ビタミンB群と同様にセロトニンの生成のサポートの役割を担っています。不足すると、以下のような精神的不調が起きる可能性があります。

  • 気分の落ち込み、うつ症状
  • イライラ、不安感
  • パニック障害
  • 睡眠の質の低下
  • 慢性疲労 など

マグネシウムを豊富に含む食材

海藻類(ひじき、わかめ、昆布など)、ナッツ類(アーモンド、かぼちゃの種など)、大豆製品(豆腐、納豆など)、緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)

意欲と活力を生む「鉄分」

鉄分は、精神を安定させる神経伝達物質(セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなど)の分泌に不可欠な栄養素です。また鉄分は、赤血球の一部として身体中に酸素を運びます。鉄分が不足すると、以下のような不調が起きる原因となります。

  • 気分の落ち込み、うつ症状
  • イライラ、不安感
  • 睡眠の質の低下
  • 集中力や思考力の低下
  • 慢性疲労 など
鉄分を豊富に含む食材

レバー、赤身肉、魚介類、海藻類、豆類・大豆製品、ごま、ナッツ類、未精製の穀物

動物性食品に含まれるヘム鉄は、植物性食品の非ヘム鉄より体内への吸収率が高いため、より効率的に鉄分を摂取することができます。ビタミンCを鉄分と一緒に摂ると、鉄分の吸収がさらに高まります。

うつ症状の改善が期待される「オメガ3脂肪酸」

オメガ3脂肪酸は、「天然の抗うつ剤」とも呼ばれ、うつ病や不安症状の改善効果が期待されています。オメガ3脂肪酸(特にDHA)は、脳の情報伝達をスムーズにし、セロトニン(幸せホルモン)の働きもよくします。また、オメガ3脂肪酸(特にEPA )は強い抗炎症作用をもち、うつ病のリスクを軽減させるという研究報告もあります。

オメガ3脂肪酸を豊富に含む食材

青魚(サバ、イワシ、サンマなど)、その他魚介類(サケ、マグロなど)、えごま油、亜麻仁油、くるみ、チアシードなど

オメガ3脂肪酸

心が疲れたときに手軽に食べられる「元気食材」

バナナ

心が疲れているときに、手の込んだ料理を作るのは難しいものです。ここでは、手軽で効率的に食べられる、元気の出る食材を紹介します。

元気が出る栄養素がそろった「バナナ」

バナナは気分を安定させ脳を活性化させるため、朝食やおやつに最適です。バナナはセロトニン生成に必要な栄養素3つ(トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物)を含んでいるからです。バナナを食べることで、以下の3つの栄養素が効率的に働き精神を安定させます。

バナナの栄養素栄養素の働き
トリプトファン必須アミノ酸の一種でセロトニンの原料となる
ビタミンB6トリプトファンからセロトニンへの変換をサポートする補酵素の役割
炭水化物トリプトファンを脳内へ届きやすくする
バナナの栄養素

 腸内環境をととのえる「発酵食品」

納豆や味噌、ぬか漬け、ヨーグルトなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし腸内環境をととのえます。

腸は「第2の脳」ともいわれており、脳と腸はお互いに影響し合っています(脳腸相関)。腸内環境が乱れると、摂取したトリプトファンを効率よくセロトニンへ変換することができません。セロトニンは約9割が腸内で作られるため、精神を安定させるためには、腸内環境を整えることが大切です。

発酵食品2

間食に最適「ナッツ、高カカオチョコレート」

間食におすすめなのが、ナッツ類高カカオチョコレート

くるみにはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、アーモンドにはマグネシウムが豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸とマグネシウムは、先に紹介したとおり「幸せホルモン」を生み出す食材です。

高カカオチョコレート(カカオ70%以上)は適量なら、抗酸化物質であるカカオポリフェノールやカカオの苦味成分であるテオブロミンがストレスを軽減し、リラックス効果をもたらします。ただし、糖分の多いチョコレートを食べ過ぎると、血糖値の乱高下を起こし精神的にも不安定になりやすいので気をつけましょう。

高カカオチョコレート
Ns.きらりん

ローチョコレートを手作りするのもオススメです!

手軽にオメガ3脂肪酸を摂れる「サバ缶」は大活躍!

青魚は調理が面倒…という人もサバ缶イワシ缶などの水煮缶を活用しましょう。サバ缶やイワシ缶は、骨まで丸ごと食べられるため、オメガ3脂肪酸だけでなく、カルシウムも豊富に摂れます。味噌汁の具にしたり、そのままパンに乗せたり、麺類と合わせたりと活躍の幅が広いのが魅力です。

サバ缶
Ns.きらりん

サバ缶は、簡単なレシピがたくさんあるので検索してみてください!

知っておきたい!心が疲れている時にNGな食べ物

心が沈んで切る時に、甘いものや刺激のある食べ物を求めてしまうのはよくあることです。しかし、甘いものや刺激的な食べ物は一時的に気分を高揚させますが、反動が大きいことを知っておきましょう。

甘いお菓子やジュースは、精神的ダメージを引き起こす

清涼飲料水や菓子パン、甘いお菓子など、精製された糖質1を大量に摂ると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの過剰分泌で急降下します。この「血糖値の乱高下」がイライラや倦怠感、急激な気分の落ち込みを引き起こす大きな原因となります。

  1. 白米小麦粉白砂糖など、精製課程で食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素がほとんど取り除かれた糖質のこと。 ↩︎
甘いもの禁止

本当はリラックスできない⁉︎過剰なカフェイン、アルコール

コーヒーなどのカフェインは、適量であれば集中力を高め、リラックス感をもたらします。しかし、過剰に摂取すると交感神経を刺激し、不安感を増幅させたり夜の睡眠の質を低下させたりします。特に、夕方以降の摂取は控えましょう

アルコールには一時的に緊張を和らげたり、ストレスを軽減したりする効果があります。しかし、アルコールが体内で分解されるにつれて睡眠の質を低下させ、翌日の気分を不安的にさせます。心が疲れているときは、極力控えるのが賢明です。

心をととのえる3つの食習慣

「何を食べるか」と同時に、「どのように食べるか」も大切です。ここでは、心が元気になるための食習慣を紹介します。

決まった時間に食事をする

規則正しい食事は体内時計をととのえ自律神経をととのえます。体内時計がととのうことによって、睡眠の質も向上します。特に朝食を毎日規則正しく食べると、セロトニンが活性化されて気持ちが安定します。簡単でもよいので、朝食は欠かさないようにしましょう。

Ns.きらりん

毎日の朝食は、体内時計をととのえて安眠にもつながります!

「ながら食べ」せず、五感で食事を楽しむ

スマホやテレビを見ながらの「ながら食べ」は、食事への集中力を奪い、脳が満腹感を感じられなくなります。食べ物の香り食感に意識を向けることで食事を深く味わうことができ、満足感が大幅に高まります。

食事を楽しむ

「ご飯+みそ汁」はメンタルケアに理想的

日本の伝統的な和食は、心をととのえるための理想的な食事です。次の4つのメニューを揃えるのがベスト。

  • 主食(ご飯)
  • 汁物(みそ汁)
  • 主菜(魚、大豆)
  • 副菜(野菜、海藻)

上記の4つを揃えられなくてもまずは、「ご飯+みそ汁+納豆」のように、シンプルなメニューを中心に献立を考えると心の健康のためのバランスの良い食卓になります。

日本食セット

まとめ

楽しい食事

この記事では、心が元気になる栄養素と食材、食べ方を解説してきました。心の元気は、毎日の食事でつくられます。

まずは幸せホルモン「セロトニン」の材料となるトリプトファンを摂ることが大切です。加えて、ビタミンB群、マグネシウム、鉄分、オメガ3脂肪酸をバランスよく摂取することで、心のコンディションは少しずつ上向いてきます。

食事に手をかける必要はなく、手軽に食べられるバナナを朝食に加えたり、夜のおかずにサバ缶を取り入れてみることからはじめてみましょう。

Ns.きらりん

一つでもよいので、出来ることから始めてみましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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